幸せそうな顔をみせて【完】
副島新の後ろをついてリビングに行くと、そこは既に綺麗に片付いていた。今朝まで二人でいた痕跡はどこにもない。
「大事な話があるって言ってたから」
私がソファに座りながらいうと、副島新は拭いていたタオルを椅子の上に置くと、寝室に入りさすがに上半身裸の状態はまずいと思ったのかシャツを着て出てきたのだった。副島新はシャツを着ると私とは少し離れた場所に座るとフッと息を吐いた。そして、私を見てニッコリと笑った。
「俺の転勤が決まった。行先は東京の本社営業一課」
緩やかな雰囲気は副島新の日常で、その中に私が居る。まるで近くのスーパーに行くかのようにサラッというからつい私の身体から力が抜ける。
「おめでとう」
「今日、小林主任から聞いてたんだろ。会社に帰ったら小林主任に言われた。不可効力とはいえ、葵に知らしてしまったことを謝っていた。本社営業一課に転勤のことを隠すつもりはなかったけど、自分の中でどうしようか迷っていたから葵にすぐに言えなかった。ごめん」
「うん。正確に言うと研究所の中垣主任研究員からだけど、でも、何を迷っていたの?」
本社営業一課といえば、誰もが行ってみて自分の力を試したいところ。迷うことはないはず。迷うのは私とのことをどうするかだけだと思う。別れるか、それとも遠距離恋愛をするべきか。
遠距離恋愛で失敗した経験のある私は副島新だからと言って上手く行くという保証はない。だから、軽々しく『寂しいのを我慢する』なんて言えなかった。
「大事な話があるって言ってたから」
私がソファに座りながらいうと、副島新は拭いていたタオルを椅子の上に置くと、寝室に入りさすがに上半身裸の状態はまずいと思ったのかシャツを着て出てきたのだった。副島新はシャツを着ると私とは少し離れた場所に座るとフッと息を吐いた。そして、私を見てニッコリと笑った。
「俺の転勤が決まった。行先は東京の本社営業一課」
緩やかな雰囲気は副島新の日常で、その中に私が居る。まるで近くのスーパーに行くかのようにサラッというからつい私の身体から力が抜ける。
「おめでとう」
「今日、小林主任から聞いてたんだろ。会社に帰ったら小林主任に言われた。不可効力とはいえ、葵に知らしてしまったことを謝っていた。本社営業一課に転勤のことを隠すつもりはなかったけど、自分の中でどうしようか迷っていたから葵にすぐに言えなかった。ごめん」
「うん。正確に言うと研究所の中垣主任研究員からだけど、でも、何を迷っていたの?」
本社営業一課といえば、誰もが行ってみて自分の力を試したいところ。迷うことはないはず。迷うのは私とのことをどうするかだけだと思う。別れるか、それとも遠距離恋愛をするべきか。
遠距離恋愛で失敗した経験のある私は副島新だからと言って上手く行くという保証はない。だから、軽々しく『寂しいのを我慢する』なんて言えなかった。