幸せそうな顔をみせて【完】
『おめでとう。朝から副島センセイからメールがあったよ。まさかの電撃結婚だね。副島センセイとお似合いだと思うよ。金曜日の夕方にいつもの居酒屋でお祝いしようね』


『まさか、三人の中で一番に葵が結婚することになるとは思わなかった。とりあえず金曜日にじっくり聞くから』


 やたらにテンションの高いメールに私はなんか疲れを感じた。とりあえず文句の一つでも言おうと思って副島新の姿を営業室に探すけど、既に営業に出ていたのか姿も見えない。何をどうしたらいいのか分からないけど、とりあえずは目の前の仕事をすることにした。


 私の知らないところで恋も愛も凄い勢いで走り出している気がする。でも、それは自分の選んだ道だったから責任は自分で取らないといけない。でも、副島新とゆっくり話したいとも思った。とりあえず、今日の夕方にこれからのことを話さないと。


 昨日はあのまま甘い時間を過ごしてしまったから何も話せていない。


 昼の仕事まで終わらせると私の携帯に副島新から一本のメールが届いていた。


『ごめん。葵。急に東京に出張になった。取引先の重役が担当の俺に会ってくれることになったから今から行ってくる。金曜日の夕方には帰るから、悪いけど実家のお母さんに連絡しておいて、土曜日に挨拶に行きたいから、都合を聞いておいて』


 
 え?いきなりの出張なんてズルい。本当に金曜までに帰ってくるのだろうか?



 
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