幸せそうな顔をみせて【完】
 ビールで乾杯をしたのが合図で、それから攻撃が始まったのだった。それにしても副島新はどんなメールをみんなにしたのだろうか?それが気になった。


「副島センセイからどんなメールが来たの?」


 そんな私の問いに自分の携帯を開いて見せたのは未知だった。副島センセイらしいメールと笑いながら画面を開いていく。そして、そのメールの画面を見た瞬間、後ろに転がりそうになった。


『葵と結婚することになった。金曜日にいつもの居酒屋に集合』


 たったこれだけのメールは返って同期のみんなの興味をそそる。付き合っていることも言ってないのに、いきなりの結婚となると周りが驚くのも仕方ないことだと思った。副島新のメールを凝視してから私は大きな溜め息を零した。


「で、このメールのことは本当なの?副島センセイが嘘を吐くとは思わないけど、前の飲み会で何も言ってなかったのに、今週のメールでいきなりの結婚だろ。付き合うならともかく結婚というのに驚いた」


 どう答えたらいいのだろう。


 副島新の転勤の話は月曜に発表されるからと言ってまだ言っていいことではない。それにそれを私の口からいうのも憚られる。では、どうして副島新との結婚が決まったことを言えばいいのだろう。


「あの…なんて言ったらいいのか?説明が難しいんだけど」


 そう言葉を探していると、居酒屋のドアが開き、大きなカバンを持ったままの副島新が現れたのだった。出張からそのまま来たみたいだった。
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