ご懐妊は突然に【番外編】
「その代わりに、ドミノキャンドルにしてはいかがでしょう」

「ドミノキャンドル?」

お義母さんが小首を傾げると、天野さんはすかさずパンフレットを差し出す。

チラ見したら、オプショナル料金は18万円だった。

たっか!詐欺じゃないの?!

思わず私は目を見張る。

「あらあ!素敵じゃない!ドミノキャンドル!いいわよねぇ、遥さん!」

しかし、お義母さんはノリ気のようだ。

そうですねえ、と私は話し半分で聞き流す。

自分の披露宴なのに、このやる気のなさはいかがなものかと思うが、とにかく眠いのだ。

寝ても寝ても寝たりない。

これもきっと妊娠しているからだろう。

天野さんとお義母さんが披露宴のプランについて、ああでもない、こうでもないと話しているのを夢現でぼんやりと眺めていた。


披露宴の打ち合わせが終わると衣装合わせだ。

お腹に赤ちゃんがいるのであまりウエストを締め付けないデザインがいいかと思ったけど「小森さんは元が細いからコルセットで締めれば全然イケますよ」と天野さんより心強いお言葉をいただいた。

実際プリンセスラインのドレスを試着してみるが、ウエストからフンワリと広がっているため、双子ちゃんたちのいる下腹辺りは全く気にならない。

ただコルセットをぎゅうぎゅうに締められているので心配になったが、おめでた婚の場合はみんなこんなものらしい。
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