ご懐妊は突然に【番外編】
新庄の親が経営しているこのデザイナーズマンションで、妻玲子はお料理教室を、夫龍生はエスコートサービスを営んでいるそうな。

私は、旦那の借金返済のために『Sweet angels』で働く事になった面接者と間違えられていたらしい。

「それで、うちの妻は合格でしたか?」

匠さんがふざけて尋ねる。

「胸とお尻がなくて貧弱だけど、可愛い顔してるから、まあ合格だな。たまに俺とか葛城くんのようなマニアがいるから」

私はニッチな層にしか受けないということだろうか。

「まあ、歳は4つほどサバよんでもらうことになったけど、童顔だからバレねーだろ」

それって詐欺じゃない…思わず心の中で突っ込む。

「合格だって。良かったな遥」

匠さんはニコリと微笑んだ。

「そもそも、我が家で返せない額の借金だったら、遥一人を売ったところで焼石に水でしょ」

匠さんは甚だしい私の勘違いに呆れてぐるりと目を回した。

そして、二子玉の料理研究家とは玲子さんの事だった。

美人であることは妄想と相違ないが、見るかぎりではやましい雰囲気は皆無だ。

旦那もいるし。ちょっとガラが悪いけど。

匠さんが二子玉に通う事となったいきさつは少しだけ前に遡る。
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