ご懐妊は突然に【番外編】
リビングのドアを開けると、英茉は田中の膝に乗っかって「やだー!りょーくーん」なぁんてキャッキャ言いながらタブレットを覗き込んでいた。

ハタから見ていても仲睦まじい。

「英茉、ただいま!」

匠さんはいちゃつく2人を見て少々面食らったものの、気を取り直して明るく声を掛ける。

英茉はチラリとこちらに視線を向けて「あ、パパ、おかえりー」と素っ気なく言う。

「りょーくん、このアプリ閉じていい?」そして直ぐに田中の方へと向き直した。

「くっそ」と呟き、匠さんは悔しそうに鼻の頭に皺を寄せた。

「いいじゃない、英茉は楽しんでるみたいだし」

私はその様子を見てクスリと笑う。

「英茉は遥に似てるから、稜になついていると尚更気分が悪い」

匠さんはプリプリ怒っていた。


本日は田中夫妻と葛城家の6名で賑やかなディナーとなった。

メニューは美しい執事ユウキさんが作ったローストビーフに付け合わせのマッシュポテト、サラダ、そしてビジソワーズスープにパンだった。

お肉は柔らかくジューシーで絶品だ。

双子達も夢中になって食べている。

その他の料理はどれをとっても美味しかった。

『Reiko's cooking studio』へ通ったところで、匠さんにはこんな美味しい料理は作れまい。

大人は美味しい食事と一緒にワインを嗜んでいるが、燁子さんは一人ペリエを飲んでいる。

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