暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「そうだな。ここでどうこう言ってるより一度食事にでも行きなさい。私の行きつけの料亭を使うといい。勘定は付けといて構わないから。いや、若い人はフレンチやイタリアンとかが良いのか?となるとーーー」


「社長、お店の方は私が沙紀さんに気に入って頂ける所を探しますのでご安心ください。勿論、食事をしたら、ちゃんと送り届けますのでご心配なく。」


「そうだな、私よりも樋山くんに任せた方が間違いない。早速、今夜にでも行きなさい。」


ちょ、ちょっと私を置いて話がどんどん進んでるんだけど……


「それではこの話はこれにて。業務に戻らせて頂きます。」


「あっ、じゃぁ私も。」











パタンッーーー


社長室から出ると樋山さんに慌てて言った。


「ごめんなさい…伯父が無茶な事を言って。適当に食事に行った事にすれば大丈夫ですから。」


「私とーーー食事は嫌ですか?」


「えっ、嫌…って事は無いですけど……だけど樋山さんの都合もあるんじゃないんですか?私と食事とか行って誤解されると困る人とか……」


これだけのイケメンだもん。


それにこの年齢だしさっきは伯父の手前ああは言ってたけど実際一人や二人いるでしょ?


「いえ、本当に今は特定の人はおりません。それともあなたこそ、何か不都合でも?」


意味有りげな顔で聞いてくる樋山さん。


「いえ……無いですけど。」


一瞬、陽日の顔が浮かぶ。


それだけで胸がキュッと締め付けられる思いがする。


「早速ですが今夜、時間を空けて頂けますか?」


「こ、…今夜ですか?」


「はい、今夜。では後ほど。」


「えっ、あっ、はい…。」


穏やかな口調とは裏腹に何とも言えない威圧感につい返事をしてしまった。



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