嫌いになりたい
「亜弥の声、相変わらずエロいな」


カッと頬が熱くなる


そうだ

健太は、あたしの気持ちなんか考えない人だったんだ


「体だけが目当てだった人に、そんなこと言われたくない」


両膝に力を入れて立ち上がり、健太を突き放す

皆を追いかけようと振り返ったけれど

さっきまでそこに居た皆の姿はどこにもなくて


「…そんなつもりはなかったんだけど」


背後から寂しそうな健太の声がしたかと思うと、またギュッと抱き締められた


「………離して」


「離さねーよ、また…逃げるだろ?」


「誰のせいだと思ってるの?」


「………あの時はゴメン。亜弥が初めてだったんだ」


そんなの…

あたしだってそうだった


「初めて目の前で実物見て、すんげー興奮しちゃってさ…。亜弥の気持ちとか………全然考えてなかった…。ゴメン」


ギュッと締め付けられる胸


「何で………?」


ダメだ


言葉にしようとすると涙が込み上げてくる
< 56 / 69 >

この作品をシェア

pagetop