嫌いになりたい
※※※



「もう大丈夫、ありがとう」


駅前までやって来たところで、絡められた指を離そうと永野くんを見上げる

それでも彼は微動だにしない


「永野くん?」


引っ張る力を少し強くし、唇を尖らせて彼を睨んだ


「………さっきのやつ、誰?」


聞いたことのない冷たい声に、ビクンと体が震える


「元カレ………。富永さんに頼まれて参加したコンパで、偶然会ったの…」


「………」


「俺の女って…嘘吐いてくれて、ありがと。明日も仕事だし、そろそろ帰るね」


気まずくて、笑顔を作って永野くんの手を振りほどこうとした途端


「───っ」


指先にギュッと力をこめられ、勢いよく引っ張られた

ボスッと音がして、永野くんの懐に顔が埋まる


「ちょっ…」


慌てて離れようとすると、ギュッと抱き締められた
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