オフィスの華には毒がある
「それ、譲って貰えませんかっ?」


……はい?


彼とわたしの距離、紙コップ1つ分。


近い近い、何よこれ。


彼……こと、斉木楓馬(サイキフウマ)は、くりくりとした小動物のような瞳をうるうるとさせて、わたしをじっと見ている。


…やっぱ、かっこいい。


ポツンと浮かんだ自分の気持ちに、慌ててふたをする。


「いやでもこれ、フーフーしちゃったし…」


余りにも近い距離に、心臓が痛くなる。


平静を保とうと飛び出した言葉は何ともマヌケで。



気がつくと、笑い転げている斉木君。


「フーフーしちゃった、って…!!!ははははは」


笑うと、くりくりだった目が柔らかい三日月のような形になり、とってもかわいい。
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