オフィスの華には毒がある
驚きと悲しみが入り交じったような声がわたしの背中に突き刺さる。


「俺のオリブレ……」


何か聞こえたような気がしたけれど、とりあえず目の前の熱いコーヒーを冷ますことに集中。


ふーふーするわたしを、誰かが後ろから追い越す。


誰か、と言っても、この喫茶スペースはどん詰まりだから、要するにわたしの背後に並んでいたのも、叫んでいたのも、今追い越した人と同一人物なわけで。


後ろ姿から社内の人物を言い当てるほど暇じゃないわたしだけど……この人は分かるかも。


こんな地味な会社に不似合いな、一目で高そうだと分かる濃紺のスーツ。
きちんとセットされて、それがまた決まっている緩くパーマのかかった茶色い髪の毛。
何だか辺りに漂う甘くてスパイシーな香り。


そして、くるっと振り返ることでわたしの目の前にせまる、整った顔立ち。
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