オフィスの華には毒がある
表面上は何も変わらず、手を繋いだままひたすら歩く。


……だから、あっという間に駅に着いてしまう。いや、『着いてしまう』ってのも、変な話だけど。いいんだけど。

ああもう。調子が狂う……あれ、もしかして、キャラ設定を守り通して、わたしからこの際『ラブホでも行きますか?キャピ』みたいなことでも言った方がいいってこと??
……無理無理無理無理。それは無理。


にしても……例えば、ついこの間の鉢合わせした土曜日のこととか。
主任は気にならないのかな。


わたしは気になるけどね。


……だからって、何も言えないけど。


ちらりと見る主任は、通常モードで、飄々としていて。

手を繋いで、どぎまぎしているのはわたしだけ。
……まさか本当に酔っ払いの介護要員?酔っていないように見えるだけでかなり酔ってるとか?


「あ」


人がそれなりに増え、どちらからともなく足を止める。
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