オフィスの華には毒がある
「あーーーーー、いたいた!!那奈さーん!」


一瞬、どこから声が聞こえてきたのかわからなくて、慌てて辺りを見回す。


うちの部署には誰もいなくて、同じフロアにはポツポツと残業中らしき人影が見えるけど、今の声のテンションに見合った人はいない。


「ここでっす!」


今度は小声でわたしのすぐ横から声がして、振り向くと、

「……斉木くん?」


思わず疑問形が口をつく。


すぐ横、というその距離に何だか違和感を覚えて身体をずらして距離をとる。それに何だか……


「酒臭いっすか?俺」


うんうん、と頷くわたし。


よく見ると顔も何だか赤いし。



斉木くんは傷付いたような顔で自分の口の前に手をあて、息をふーふー吹き掛けている。

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