オフィスの華には毒がある
折角格好いい斉木くんなのに、わたしと並んでふらふらしているんじゃ、ちっとも絵にならない。


……にしても、近い。

ドキドキしているのがバレると何だか気まずいので平気なふりをしているけれど、たまに吐息がかかるほど近い距離っていうのは中々に強烈。



斉木くんの足取りのおぼつかなさや、時おり崩すバランスでよろめく身体……そもそも近すぎるこの距離に気を取られているうちに、いつの間にかいかがわしい界隈にいることに気づく。


あれ?

会社を出て、真っ直ぐ駅の方に向かっているつもりだったのに、何故か周りはラブホテルがちらほら。


そうだ、反対側は、居酒屋とかもあるんだけど、ちょっと横道に入るとこんな感じなんだった。

「……斉木くん、歩けてる?道、ずれちゃったみたいだから軌道修正したいんだけど」
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