オフィスの華には毒がある
「じゃ、俺寄っていくとこあるんで」


「はーい、それじゃまた!ほら、センパイも!」

御機嫌な環に促され、


「お疲れ様でした」


普通に言っただけなのに、


「ちょっとぉー、妬かないでくださいよ!センパイ達の仲を邪魔するわけないじゃないですかぁ!あたし、彼氏いるし!」


……えーと、この子酔ってます?


なんかもう、ほんっと、やめてほしい。


救いなのは、主任が環の戯れ言に反応するどころか、気にも止めずにすたすたと歩いていくところ。
そりゃあもう、爽快に。
全くわたし達に興味なんてないのがよくわかる足取りで。


……それはあまりにも快活で、逆にちょっと気に入らないくらい。



駅の改札とは違う方向の夜の闇に消えていく後ろ姿は、謎が多いけれど、冴えないことには変わりなくて。


わたしは、大きく息を吸った。
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