elevator_girl

深町は意図を理解し、エンジンを始動して
再び、走り始めた。
小気味良いエキゾースト・ノートが
日常的な風景を、映画色の街のように染めていった。

「それじゃ、こうしましょう。叔父の了解を得て
それから、試乗してみませんか。今度のお休みにでも。」

スピードが上がり、風が渦巻く中で
深町は、すこし声を張ってそう言った。





低くエンジンを抑えながら
大通りにを左折。
スロットルを大きく開くと
フォード853Cユニットは、乾いたサウンドを奏で
力強く、アルミニウムのボディを運ぶ。
音だけ聞くとゆったりしているが
スピードがぐんぐん、増していく。

自動車、と言う感覚からすると異次元のアクセレーション。
金色に焼けているエキゾースト・パイプから
甲高いサウンドが響く。

片側二車線の道路を、滑るように、飛ぶように。
地面すれすれを滑空しているような感覚は
水面をかすめながら飛ぶ渡り鳥のようだ。

区役所の通りを右折し、商業高校の前を通過しようとした
深町は、見覚えのある人影を発見し、ブレーキング。
路肩に寄せ、スーパー・7を停車させた。
< 135 / 213 >

この作品をシェア

pagetop