elevator_girl
その、エンジン音に振り向いたのは、ベージュの作業服に身を包んだ
小柄な人だった。
「先生!」深町は、ステアリングから手を離して
その人影に両手を振った。
「.....ああ、深町さん?」
舗道の端に居たその人影は、にっこりと笑顔を作った。
丸顔で、愛嬌のある顔立ちのその人は
軽やかに走ってきた。
「先生、元気そう。....まだ、ノーメイクで通してるの?」
と、深町は懐かしそうに述べる。
「そう。これが私のスタイルだもの。作業するのにメイクは邪魔なの。
深町さん、すごい車...。」
その人は、諒子に視線を移したので、深町は
「あ、先生、この人は僕らの友達なんだ。桜井諒子さん。
深窓の令嬢。諒子さん、この人はね...。」
まあ、令嬢なんかじゃないです、と諒子は真顔で否定する。
「私は、そこの専門学校の教師、藤野喜久子です。」と、
深町の紹介を待たず、その小柄な作業服姿の人は、にっこりと
挨拶を交わした。