立花課長は今日も不機嫌
「他の理由で俺が佐伯を待っていたと」
「……他の理由って何ですか?」
「それはつまり、あれだ」
「あれ?」
「……お前、分かってすっ呆けてるだろ」
ギロリと睨まれれば、誤魔化してもいられない。
「……すみません。ほんとはちょっと勘違いしそうでした」
その一言に立花さんの瞳が動揺で揺れるのが、横顔でも分かって、私までドキっとする。
ずっとそうだったのか、対向車のライトが照らすせいなのか、立花さんの耳が赤くなっていることに気付いて、私まで顔が熱くなった。
「とにかく、俺のためだと分かればいい」
「……はい」
「ところで、佐伯の家はどこだ」
「――えっ、あ、そうですよね」
肝心なことを忘れていた。
急に聞かれて、背筋がピンと伸びる。