立花課長は今日も不機嫌
既に結構な距離を走ってる。
でも、立花さんも、最初に聞いてくれてもよかったものを。
私にはそんなことまで考える余裕は、立花さんに声を掛けられたときから持ち合わせていない。
つまり、道案内のことまでに気が回らなくても仕方ないのだ。
そして、窓の外を流れる景色に視線を泳がせてみても、ここがどこだか分からないという間抜けっぷり。
……どこを走ってるんだろう。
走った距離からも、多分アパートの近くに違いないとは思うけれど。
「えっと……」
必死で見知った建物を探してみるけれど、車で走ることのないせいか、見覚えのありそうな景色が全然違って見える。
「……次の信号を右……かな……。あ、違うかも。……あれ?」
立花さんを待たせている焦りから、余計に分からなくなる。