立花課長は今日も不機嫌
「0時過ぎです」
見たままを告げると、「そうじゃない」と返ってきた。
「こんな時間に一人で帰らせるわけにはいかないだろ」
「大丈夫です。駅まで近そうですし」
さっき良樹さんがここへ連れてきてくれたときに、車の窓から場所は確認済み。
「終電もまだあります」
……多分、だけど。
「方向感覚皆無の佐伯が、無事に辿り着けるとは思えない」
「――っ」
痛いところを突かれた。
「そんなことないです。あの夜はたまたまですから」
「いいや、佐伯の方向感覚ほど危なっかしいものはない」