立花課長は今日も不機嫌

「――きゃっ、な、何するんですかっ」


慌ててスカートを手で押さえるけれど


「プリマベーラの杏奈」

「――っ」


聞き捨てならない一言に絶句。
今、確かにほんの一瞬だけ心臓が止まった。


「その証拠だ」

「え……?」


立花さんが私の太ももの内側を指さす。
更なる言葉にパニック寸前。


「――えっ、だって……」


そこには、生まれ持った3センチ四方の大きな痣があったのだ。


「網タイツ履いていたんですから、見えるわけ――」


そこまで言って、咄嗟に口を押えた。


シマッタ……。
と思っても後の祭り。


立花さんの顔に、嫌な笑みが浮かぶ。

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