立花課長は今日も不機嫌
「さて、何にいたしましょうか」
良樹さんが両手を前ですり合わせながら尋ねる。
そうだな……この前のカクテルでももらおうかな。
「キール、でしたよね? この前作っていただいたのは」
「そうよ。それにする?」
「はい、お願いします」
「入江くんは?」
「お、俺も同じもので」
まだどこかおどおどしつつ、入江くんも答えた。
「かしこまりました」
最上級とも言える笑顔を入江くんに向けてから、良樹さんが私たちの前から離れる。
すると、入江くんが私の方へ顔を近づけて声を潜めた。
「もしかして、あのマスターって……」