立花課長は今日も不機嫌
その先の言葉までは言わなかったものの、そこで頷いた私の反応で全てを悟ったらしい。
入江くんは小さく「参ったな」と呟いた。
「そんなにビビらなくても大丈夫」
「そうですか? 杏奈さんが言うのなら、まぁ信じますけど。……でも、それとは別に、居心地が悪いですよね」
入江くんの言う通りだった。
離れているとはいっても、同じ店内に立花さんがいる。
入江くんの方へ顔を向けるたびに、視界にどうしたって入ってしまうときているのだから。
「一つ聞いてもいい?」
声のトーンを更に落とす。
入江くんは「なんでしょうか?」と耳を私に寄せた。
「どうして私に気付いたの?」
最大の疑問だ。