立花課長は今日も不機嫌
どれくらい経った頃か、岩瀬さんがパソコン画面を指さした。
「あの、これらが削除されていたメールなのですが……」
その言葉に鼓動がドキリと反応。
思わず顔を近づけて凝視する。
そこには確かに、入江くんが言っていたバス会社とのやり取りが何通にも亘ってされていた。
そして、その中の何通かには、金銭授受のやり取りまで詳細に書かれていたのだった。
……これで、立花さんを救える。
そう思った途端、力が抜けてフロアに座り込んでしまった。
「あ、杏奈さん!?」
岩瀬さんが驚いて手を差し伸べる。
「だ、大丈夫ですか!?」
「はい、すみません……」
「欲しいものはこれじゃなかったでしょうか?」
不安そうに尋ねる。
「あ、いえ、これです。これが欲しかったんです」
「それはよかったです。では、これを保存しましょう」
USBメモリにバックアップを取り、無事復元に成功したのだった。