立花課長は今日も不機嫌
後ろから、聞き慣れた無愛想な声が掛けられてドキリとする。
立花さんは大きな段ボール箱を抱えて入って来たのだった。
「……その段ボール……」
「身辺整理。ここもあと1週間だ」
こともなげに言う。
「心配するな。佐伯の副業のことは公にしないよう鳥塚専務に頼んでおいたから」
――そんなこと!
私の心配じゃなくて、自分の心配をするときなのに!
「なんだ、それじゃ不満か」
思わずしかめっ面をした私に、立花さんの容赦のない言葉が飛ぶ。
立花さんはデスクに段ボールを置くと、引出しに入っている私物を片っ端から入れ始めた。
「そうじゃないんです」