立花課長は今日も不機嫌

――――――――
 ――――――

会社帰りの足で私が向かったのは、市街地の外れにあるスタイリッシュな高級ホテルだった。


ベルボーイが開けてくれたガラス製の扉を抜け、広いロビーへと出る。

岩瀬さんを探してゆっくり足を進めると、視界の隅でソファから立ち上がった人影を捕えた。


私を見つけて、しきりと頭を上げ下げする。



「お待たせしてすみませんでした」


そのそばに歩み寄り頭を下げると


「いえいえっ、とんでもないです」


岩瀬さんは更に恐縮して腰を低くするのだった。


「あの、杏奈さん……本当によろしいんですか?」


激しい瞬きをしながら岩瀬さんが尋ねる。

< 333 / 412 >

この作品をシェア

pagetop