立花課長は今日も不機嫌

「立花さんと鳥塚専務が一緒だったの」

「それじゃ、鳥塚専務にも知られちゃった!?」

「ううん、それはないと思う」


何度か来ていたけれど、気づいた素振りは全くなかった。
それ以前に、専務が私の顔を知っているとも思えない。

立花さんだって、専務にわざわざ言うこともないだろう。


「本当に気付かれてない?」


険しい顔つきをした沙月に、呑気に構えていた気持ちがぐらつく。


「……どうして?」


そこまで疑う余地はないと思うその裏で、不安がひょっこり顔をもたげた。


立花さんだけじゃなく、鳥塚専務にまでバレていたら……。

執行猶予なんて甘い処分じゃなく、きっと即解雇だ。

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