立花課長は今日も不機嫌
多分、入江くんは沙月から詳しいことを聞いたんだろう。
「立花さんもそばにいるし」
小さく付け加える。
「でも、ちょっと意外だったんですよね」
入江くんが続ける。
「鳥塚元専務って、傷害だけで逮捕されたんですよね? それをきっかけに、例の疑惑も一緒に起訴されるのかと思ってました」
「うん……」
私もそれはちょっと疑問だった。
立花さんが決着をつけたというのが、どういうものだったのか、話してもらっていなかったのだ。
「何はともあれ、ほんと頑張りましたね、杏奈さん」
入江くんが私の頭をよしよしとばかりに撫でる。
そんなことを入江くんにされたのは初めてで、何だか妙な気分だった。