立花課長は今日も不機嫌
……と言っても、こんなに怖い目をして半ば脅されれば、岩瀬さんじゃなくても反論なんてできないに違いない。
それほどに鋭かった。
「行くぞ」
ボソッと告げ、私の手を強く引っ張る。
その力によろけるように足を出すと、もう一方の手が腰に回された。
――ひゃあっ!
思わず変な声が出そうになる。
「しっかりしろ」
私にだけ聞こえるように言われて、嫌でも背筋が伸びた。
幸い、腰に当てられた手はすぐに離れたけれど、手は握られたまま。
繋ぐというような甘い雰囲気では決してないものの、手と手が触れ合っていれば、どうしたって意識してしまう。
最初は冷たく感じた立花さんの手が、交じり合ったせいか私と同体温に変わっていて、それが、歩く速度に合わせて何故かドキドキと胸をはやらせた。