立花課長は今日も不機嫌

「即刻辞めろと言ったはずだが?」


その言葉に、ドキッと鼓動が跳ねる。


……だよね。
お店での“どういうつもりだ”という立花さんの視線は、嫌というほど突き刺さっていたから。

それが“先約”ってことなんだ。


「それで?」

「はい?」

「さすがに今夜は辞めてきたとは思うが」


有無をも言わさぬ空気にタジタジになる。


“いいえ”なんて言ったら、どんなおぞましいことになるだろう。

想像もつかないほど恐ろしくて、そこで思考がストップさせられる。


……でも、今ここで辞めてきたと嘘を吐いたことが後でバレたら……?

真偽を確かめるために、今夜のようにまたお店に確認に来るかもしれない。

それはそれで、恐ろしい展開だ。

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