立花課長は今日も不機嫌
「……借金?」
立花さんの声のトーンが若干和らいだような気がした。
チクリと胸に痛みが走る。
「闇金にでも手を出したのか?」
それにはさすがに頷けない。
「いえっ」
「それじゃカードローンか?」
「ち、違います……」
「それじゃ何の借金だ」
――ど、どうしよう。
何の借金……?
自分の口から出しておきながら、その先が続かない。
借金を理由にした手前、今更違うとも言えなくて、自分の蒔いた種に首を絞められる一歩手前。
引くに引けない事態だ。
そこであることが頭を過る。
「――じ、実は……親の遺した借金が……」
それは、その場を逃げ切るためだけに吐いた史上最低の嘘だった。
上目使いで盗み見た立花さんは、なんとも言えないという表情をしていた。