立花課長は今日も不機嫌
「あらぁ? 海人じゃないのぉ?」
そのとき不意にどこからか聞こえてきた、女性口調だけれど男性の声に立花さんが視線を彷徨わせる。
するとその声は、道路を挟んだ向かいの歩道から聞こえたものだった。
男の人が一人、大きく手を振りながらピョンピョン飛び跳ねている。
立花さんの知り合い……?
その人は車が来ないことを確認すると、小走りでこちらへやってきたのだった。
「もしかして、お店に来てくれようとしてた?」
「違う。そもそも、もう閉店の時間だろ」
「んもうっ、海人ったら、ツレないんだからぁ」
オネエ口調で立花さんを小突く。
見た目は、服装も髪型も男の人だけれど……この人、もしかして――……?