立花課長は今日も不機嫌
“お店”ってことは、そういう趣向のお店……?
立花さん、そっち系の趣味があったの……?
目を瞬かせながら二人のやり取りを見ていると、不意にその人の視線が私へ向けられた。
真正面で見つめられて、綺麗な顔立ちに気付かされる。
「……まさか、海人の彼女?」
「あっ、いえ違います」
彼女だなんて滅相もない。
それこそ、立花さんが激怒しそうだ。
「同じ会社の人間だ」
立花さんが代わりに説明をしてくれた。
「佐伯杏奈と申し――」
「名乗る必要はない」
立花さんがなぜか遮る。
ピシャリと手で制した。
「あらやだ、いいじゃないのよ、紹介してくれたって」