秘密の記憶は恋の契約
(・・・嫌われちゃったかな・・・)


彼にとっては、きっと、とても辛い過去の恋愛。

もしも本当に・・・綾部くんがプロポーズをしてたとしても、佐々木さんの返事は、「NO」だったはずだから。


(そうじゃなければ、今頃二人は・・・)


自分の胸が、ズキンと痛む。

私は彼の傷口を、大きく深く開いてしまった。

美しい昔の恋人。

彼女に向けられた未来の約束。

佐々木さんへの強い嫉妬で、私は彼を傷つけた。

さっきまで隣に並んだ、見上げるような長身の彼。

その姿が、私の目の前からどんどん遠くなっていく。

無言で、彼の背中を追いかける。

けれどその大きな背中は、全身で私を拒んでいるようだった。





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