秘密の記憶は恋の契約
「あ、あの!・・・そういえば!明後日、うかがいますのでよろしくお願いします」

山崎さんは一瞬「え?」と聞き返すような顔をしたけれど、すぐに私の言葉を理解してくれ、「ああ」と笑顔で頷いた。

「こちらこそ。納期短くてすみません」

「いえ・・・。綾部くんが、かなりがんばってくれているので・・・」

何気なく口にした彼の名前で、私は自分をドキリとさせた。

「・・・そうですか。ピンチヒッターなのに、すごいですね。綾部さん」

「はい・・・」

ぼんやりと、彼のことを考える。


(まだ・・・仕事してたりするのかな)


私を帰らせて、会社に残った彼のこと。

すぐに終わるからって、あの時は・・・そう、言っていたけれど。


(いまはもう・・・家に帰ったくらいかな)


疲れて帰って、すでに眠っていたりするのだろうか。

私は山崎さんと話をしながら、頭の中は綾部くんのことでいっぱいだった。






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