秘密の記憶は恋の契約
山崎さんは、女性をからかうひとじゃない。

私に示した感情は、冗談なんかじゃないと思った。

それなのに。

私は、彼氏がいることを打ち明けず、山崎さんと時間を過ごした。

彼を騙した後ろめたさも、自分の首を絞めていた。


(どうしよう・・・)


「梅村さん?」

考え込む私を、山崎さんは窺うように覗き込む。

「・・・悩まれるのも辛いですけど・・・。

とりあえず送ります。ここまできて別々に帰るっていうのも・・・なんかおかしいから」

そう言って、山崎さんは苦笑する。

「オレはもう少し話がしたかったので。ここは諦めて・・・一緒に帰ってくれますか」

ここまで言われて、断る言葉も見つからない。

私は小さく頷いて、山崎さんと駅に向かって歩き出した。








< 130 / 324 >

この作品をシェア

pagetop