秘密の記憶は恋の契約
(・・・はあー・・・)


ため息をついた私は、今日一日を振り返る。

綾部くんに断られても、無理矢理残業していれば。

真依からの電話に、折り返して内容を聞いていれば。

そして・・・合コンだってわかったとき、帰る選択をしていたら。

山崎さんとここまで距離が縮まることは、きっとなかったはずなのに。


(なんて・・・)


それらの選択が、全て間違いだとしても。

彼氏がいることを内緒にさえしなければ、こんな展開には、きっとならなかったはず。


(ほとんど浮気だよね、これ・・・)


ここ最近の私と綾部くんの関係は、本当に、仕事上の付き合いだけになっていたから。

山崎さんに告白された瞬間、思わずココロが揺れてしまった。


(残業手伝うって声かけたときも、綾部くん、なんかすごく冷たかったし・・・)


山崎さんなら、綾部くんより、私に優しくしてくれるかな。

そんなことを考えて、迷いが深くなるけれど。


(・・・楽しかったな、あの日)


ふと、綾部くんとの鎌倉デートを思い出す。

ネコを描こうとして失敗した彼。

私が笑うと、本当に嬉しそうな顔をして、私のことを好きだと言った。
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