秘密の記憶は恋の契約
(それで・・・私も、綾部くんのことが好きだって、自分の気持ちに気づいたんだ)


帰り際に、車の中で受けたキス。

その甘い感覚に、私は胸を高鳴らせた。


(やっぱり私は・・・)


山崎さんは、きっと優しくしてくれる。

かっこいいし落ち着いてるし、同い年に思えないくらい、すごくステキなひとだけど。

それでも私のココロを占めるのは、同期でずっと傍にいた、私をからかってばかりの彼のこと。


(・・・会いたいな、綾部くんに)


余計なことを全てなくして、すぐに「好き」って伝えたい。

それで、いつもみたいに私のことをからかって、彼が笑ってくれたらいいのに。

そしたら私は文句を言うけど、最後には「大好き」って、きっと・・・彼に伝えることが出来るのに。

・・・なんて、それはただの願いだけれど。

佐々木さんのこと、そして山崎さんのこと。

私はまたもうひとつ、綾部くんに謝るべきことができてしまった。

大きすぎる後悔と不安。

ただでさえ、気まずい関係の私たち。

今更何を告げたところで、全て言い訳になってしまう気がして。

私は綾部くんに、今日のことを伝えるべきか、どう伝えたらいいのかわからなかった。




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