秘密の記憶は恋の契約
どんより気分で迎えた翌日の朝。

一晩中ずっと悩んでいたけれど、綾部くんに何と言えばいいのか、結局答えは出ないまま。


(今日・・・どんな顔して会えばいいかな・・・)


通勤電車に揺られながら、ぐるぐると同じ疑問を繰り返す。

空はすっきりと晴れているのに、私のココロは暗雲がたちこめているようだった。



「美咲ちゃん、おはよ!」

会社に着いて5階行きのエレベーターを待っていた私は、後ろから声をかけられ振り向いた。

「あ・・・おはようございます」

声の主は金田さん。

今日も元気いっぱいの彼女は、私を見つめて小首を傾げた。

「あれ。昨日早く帰ったのに。寝れなかったの?目の下のクマすごいけど」

大きな瞳に見つめられ、私はうつむき視線をそらす。

「あ、いえ・・・昨日は早かったけど、その前はずっと残業続きだったので。

そう簡単に治るものじゃないですよ」

笑いながら言う私に、金田さんは「そーお?」と唸る。

「でも・・・多少復活する気がするけどねえ。なんかすごく顔色悪いよ」
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