秘密の記憶は恋の契約
(私との時間を作るために、昨日全部直したの?)


私の身体を気遣って、という理由ももちろんあると思うけど。

彼は、少しでも早く私の気持ちに寄り添おうと、努力をしてくれていた。


(それなのに私は・・・)


どうしよう、と痛んだ胸で次の言葉を探していると。

「美咲ー!」

フロアの入り口から、聞き慣れた高い声がした。

その方向を振り向くと、手を振りながらこちらにやってくる、小柄な同期の彼女が見えた。


(うわ・・・!!真依・・・!)


直感で、これはまずいとイヤな予感がしてしまう。

心臓が、ドクドクと焦らせるような音を出した。

「・・・ど、どうしたの?」

真依が働く営業部は、ひとつ下の4階だ。

速まる鼓動を抑えながら、訪問の理由を真依に尋ねた。

「おたくの葉山課長に用事があったの。でも、まだ来てないみたいだね」

真依はひょいと背伸びして、課長の席を目視する。

「・・・うん。課長はわりとギリギリに来ることが多いから」

「あ、そうなの?じゃあ早く来すぎたかなあ・・・朝いちで終わらせたかったんだけど」
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