秘密の記憶は恋の契約
残念そうに呟いてから、「まあいいか!」と気を取り直し、真依は私に笑顔を見せる。

「ねえねえ、ところでさ」

内緒話をするように私を手招きした真依は、近づいた私の耳に小声でウフフと話しかける。

「昨日、あれからどうなったの?」

「・・・!ちょっ・・・!」

とっさに、真依の口を右手で押さえた。

他の人の口からは、絶対に今、彼の耳に入れたくなかった。

「真依、あ、あのね、いまその話は・・・」

「ぷはっ・・・。んもー!もったいぶらないでちょっとくらい教えてよーっ」

口元の手を取りさった真依は、「気になるでしょ!」と言いながらぷくっと頬を膨らませる。

そして次の瞬間、「あ!」と言って私の隣に視線を移した。

「綾部くん!」


(!?)


「ちょっと聞いてよー!美咲ったらね、昨日、合コンでめちゃくちゃすごいイケメンに気に入られて、帰り送ってもらったんだよ」

「!!」

同期である真依は、当然ながら綾部くんとも仲がいい。

予期していたようで考えたくなかった恐ろしい事態に、私の背中にはヒヤリと冷たい汗が流れた。


(・・・サイアク・・・)

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