秘密の記憶は恋の契約
それから、私と綾部くんは黙々と仕事をこなしていった。

お昼は交代でコンビニへ出かけ、それぞれ手早く食事を済ませた。

システムには一通りチェックをかけてみたけれど、テスト結果も良好で、不具合だった箇所も全て問題なく作動した。


(綾部くんが、昨日残業してくれたおかげだな・・・)


テスト用のレジを操作しながら、私は今日、何度目かの胸の痛みをチクリと感じた。

「・・・これなら問題ないだろ。資料も出来上がってたな」

「うん」

「じゃあ明日は予定通りでいいな。持ってくもの、ちゃんと準備しとけよ」

「うん・・・」

必要最小限の言葉を告げると、綾部くんはそのまま片付けに取り掛かる。

私はどうしようかと迷いながらも、そんな彼に声をかけた。

「あの・・・ありがとう・・・」

明日納品できるのは、綾部くんが昨日一人でがんばってくれたから。

完成したシステムを前に、私はお礼を言うけれど。

「・・・・・・なにが?」

一瞬だけチラリと私を見た彼は、片づけの手を休めることなく、言葉の意味を尋ねてきた。

「その・・・ちゃんと予定通りに納品できるの、綾部くんが、昨日のうちに全部直してくれたおかげだなって思って・・・」
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