秘密の記憶は恋の契約
「いま総務部から連絡あってさ。おまえに確認したいことがあるんだって。そのまま総務に行ってくれる?」

「ああ・・・はい。わかりました」

綾部くんが頷くと、課長は「じゃ、よろしくー」と言って再びフロアの中へと戻っていく。

「・・・」

何かを言おうとしてたけど。

タイミングを失った彼は、苦い顔で後ろ髪をかく。

「・・・悪い。なんでもない」

「えっ・・・」


(なんでもないって・・・)


そんなことを言われても、さっきの今で素直に「うん」とは頷けない。

納得出来ずそのまま立ち尽くしていると、綾部くんは困ったような顔をして、ぼそりと言葉を継ぎ足した。

「・・・明日の準備終わらせたら、さっさと家に帰れよ」

「え?」

「それで今日こそすぐに寝ろ」

目も合わせずにそう言うと、彼は踵を返し、エレベーターホールに消えていく。


(いまのは・・・どういう意味で私に言ったの?)

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