秘密の記憶は恋の契約
総務部に行ったままの綾部くんとは、それから、顔を合わせることはなかったけれど。

明日の準備を終えた私は、彼に言われた通り、早々に帰り支度を整えて5階フロアを後にした。


(コンビニでごはん買って帰って・・・お風呂入ったらすぐに寝よう・・・)


下るエレベーターの中、これからのスケジュールを考える。

1階で降りてエントランスに向かう途中で、私は突然、ものすごい勢いでガシッと後ろから捕らえられた。

「!?きゃっ・・・!」

「美咲ちゃん、ゲット!」

「え!?わ・・・て、金田さん・・・!」

ほぼ身動きが取れない状態で、私はなんとか後ろを振り向く。

すると、いたずらっ子のようににんまりと歯を見せる、金田さんの笑顔があった。

「外回りだったんだけど、私も今から帰るんだ。夕飯一緒に食べて行こ?」

「あ・・・すみません、今日はすぐに家に帰ろうと思ってて・・・」

「えー?そうなの?こんなに早い上がりなのに?」

「はい・・・。その、上司命令です」

「・・・上司って、同期の上司か」
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