秘密の記憶は恋の契約
悔しくて、鼻息荒く楯突いた私を、綾部くんは軽く一蹴。

そのまま、会話が続かずうつむいた私に、彼は視線を投げかけた。

「・・・まあ・・・大丈夫だ」

「え?」

「おまえが何かやらかしたところで、オレが全部フォローする」

「えっ・・・」

それは。

からかっているのか優しさなのか、彼の真意はわからない。

『どうせなんかやらかすんだろ』って、ばかにされてる気もするし。

『オレは上司なんだからな』って、上から目線な気もするし。


(それでもやっぱり・・・)


彼の言葉はどうしても、私に安心感を与えてしまう。

そして自然と以前のような、強がる文句がこぼれ出た。

「私は・・・しないからね!やらかしたりとか、絶対に!」

「へえ・・・。頼もしいな」

彼が、そんな私を見て笑う。

喜んでいいのか、怒るべきところなのか、いまがどんな場面なのかって、正解はよくわからないけど。

少しでも見れた彼の笑顔と、以前のようなやりとりに、私は嬉しくて切なくて、歩き出した彼の背中を見つめるように追いかけた。






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