秘密の記憶は恋の契約
「すみません。私、予定があって・・・」

「お、そうか・・・。残念だな」

「金曜日だもんね。デート?」

課長の返事が終わるや否や、主任が冷やかすようににやりと笑う。

あまり話したことはないけれど、口角を上げたその顔は、なんとなくSっ気がありそうだと思わず直感してしまう。

「うーん・・・残念ながら違います」

へへ、と誤魔化すように笑うと、「失礼します」と言ってすぐにその場を立ち去った。


(そうだよね・・・金曜日だもん)


綾部くんと、デートだったらよかったな。

けれど私はこれから、それどころじゃない一大イベントが待っている。


(気が重いけど・・・山崎さんにちゃんと言うぞ!)


気合いを入れて、何度目かの深呼吸をすると、私はエントランスで社員証をかざし、駅に向かって歩き出した。







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