秘密の記憶は恋の契約
桜木町駅に着き、周りをきょろきょろ見渡すと、構内から一歩はずれた入り口に、山崎さんが立っていた。

仕事帰りでも、キレイに着こなしたスーツ姿。

メガネを押し上げて腕時計を見るその様は、恋愛感情関係なく、やっぱりステキな人だと素直に思った。

ふっと、顔を上げた山崎さんが、私のことに気が付いた。

会釈をして笑ってくれた彼に向かって、ドキドキしながら近づいていく。

「こんばんは。お待たせしました・・・」

「いや、オレも今来たばっかりですよ」

「すみません・・・突然、今からなんて言っちゃって」

「いえ、こちらこそ。梅村さんの誘いなら、いつでも大歓迎なので」

見上げると、山崎さんは私にむかって甘く微笑む。

その優しげな眼差しに、私の胸がチクリと痛んだ。

「話があるってことでしたけど・・・場所を変えましょうか。夕飯まだですよね?」

「はい・・・。あ・・・いえ、ここで・・・」

お断りをするのに、一緒にご飯をするのも気まずい。

駅構内の一歩手前で、ちょうどひと気がない場所だ。

照明もいまいち届いておらず、落ち着いた暗さがょうどよかった。

「・・・もしかして、この前の返事ですか?」
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