秘密の記憶は恋の契約
いつも、余裕に見えた佐々木さん。

そんな彼女を繋ぎとめるために、綾部くんはいつもいつも必死だった。

「社会人同士なら、彼女が年上でもそこまで差はないのかもしれないけど。

オレたちの場合、彼女が先に社会人になったから。学生と社会人だと、感覚って全然違ってくるだろ。

ただでさえオトナな彼女が、一回りも二回りも、どんどんオトナになってって」

頼りないと言われたわけではないけれど、事あるごとに、そんな自分を痛感したと彼は言う。


『大丈夫。話しても、わからないと思うから』


大学生と社会人の壁。それはどうにも出来なかった。

クールで、相談事が苦手な彼女。

その気持ちを、社会人経験のない綾部くんは、上手く察することが出来なかった。

徐々にすれ違っていく二人の気持ち。

それはどんどん大きくなっていき、付き合って3年で別れることになったそうだ。

「けど、なんだかんだでまた付き合ったり別れたりを繰り返しててさ。

今思うと、お互いに依存してたのかな。彼女は、しばらくすると必ずオレのとこに戻ってきてたし、オレも・・・またどうせ戻ってくるだろって、そんな風に思ってたから」
< 211 / 324 >

この作品をシェア

pagetop