秘密の記憶は恋の契約
自嘲するように彼が笑う。

「まあ・・・そういう付き合いが6年くらい続いたわけだ。

なんだかんだで、必ず元に戻るわけだし、オレも働き始めて3年目とかで・・・それなりに仕事にも自分にも自信が出てきた頃だったから。

そこで・・・プロポーズしたんだよ」

もう、離れることのないように。

このままずっとそばにいて欲しいと、きっとそんな想いをこめて。

「・・・だけど、あっさり断られた。ちょうどそのとき・・・好きな人が出来たみたいだな」

綾部くんは、悲しげに顔を曇らせる。

そんな彼を見ていると、私も胸が苦しくなった。

「そっか・・・」

「オレもだいぶ若かったから。問い詰めたりもしたけどさ」

遠くを見る目。

聞く方も辛いけど、思い出して話す彼は、もっと辛いのだと思う。

「確実に、オレの方が気持ちが強いってことはわかってたから。

自信があったわけじゃないけど・・・付き合ってる彼女にプロポーズ断られるのは、やっぱりかなりショックでさ」

「うん・・・」
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