秘密の記憶は恋の契約
花火会場まで続くメインストリートには、両側にずらりと屋台が立ち並んでいた。

目の前には、人、人、人の波。

綾部くんははぐれないようにと、私の手をぎゅっとしっかり握ってくれた。

「花火まで時間あるし。なんか食うか」

慣れない下駄でちょこちょこと歩く私を、気遣いながら彼が言う。

私は斜め上の彼を見上げて、「うん!」と大きく頷いた。

「何がいい?」

「うーん、そうだな・・・。じゃあ・・・たこ焼き!」

「ああ、まあ定番だな」

「うん!」

話しながら歩いていると、たこ焼き屋さんの前に来た。

立ち止まって中を覗くと、店主のおじさんが、ちょうどたこ焼きを鉄板からケースに移しているところだった。

「よかった。焼きたてっぽいね」

「そうだな。一個でいい?」

「うん」

「じゃあすいません、ひとつください」

「はいよー」

綾部くんが買ってくれたたこ焼きを、路地に入って二人でつつく。

多分青のりがすごいことになっているけど、気にしていたら食べられない。

「美味いけど、なんでマヨネーズかかってるかな・・・」

「え?なんで?おいしいじゃん、マヨネーズ」
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